或阿呆の東京

aru ahou no TOKYO

國田屋酒店(京都)

もう14時20分じゃないか!

「ランチになに食べよう、なに食べよう」

と考えているうちにこんな時間に。

 

人生と一緒ですね。迷っていたらすぐ老人ですよ。

それより目の前の今を楽しまないと。

 

取り急ぎ、飲めると噂の酒屋へ。

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ええ、なんの変哲もないこの酒屋で飲めるらしいんですよ。

酒屋、いやむしろ八百屋のようなこの店で。

 

「きょう、ちょっと(暑さが)ましやね」

店のおばちゃんが話しかけてくれる。

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生ビールの大を注いでくれながら。

 

これだ、これが関西だ。

 

その昔、ホームセンターでいろいろ買って自転車のカゴに載せていたら、知らんおばちゃん二人組みに「にいちゃん、ええもん買ったなぁ」って言われた。

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それからしばらくして、大阪のりくろーおじさんのチーズケーキの行列に並んでいたら、前のお姉さんが急に振り返って「これほんまにうまいんかなあ?」って話しかけてきた。

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関西すげえって思ったよ。

 

それにしてもうまいビールだ。

ビールの注ぎ方にこだわりがあるみたい。

 

そして、何よりおばちゃんがいいのよ。

気さくでおもしろくて。

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「扇風機、少しは当たる?」って。

当たってるよー。

 

となると、さらにビールが飲みたい。

でもさすがに次は中を頼んだ。

 

おばちゃん「中のカップないねん」

「(大の)押し売りやねん」

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で、大。

見て、この泡。

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誰がこの普通の酒屋で、

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いや、むしろ米屋で、

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あの泡を見れると思おうか。

しかも1リットルの特特大でも700円。

 

このコもびっくりだよ。

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注いで泡が落ち着いたら、さらに泡を足してくれるの。

あのビアホールの名人の技じゃないですか。

 

さて、気になる樽出しハイボールで〆よう。

 

「ウチは3杯までやで」

「さっき中を大にしたけどまだ飲んで大丈夫?」

おばちゃん、優しい。

 

「もう1杯だけならなんとか大丈夫です!」

おばちゃんに気に入られるような受け答えをする。

 

ビアサーバーの上の小さな樽からウイスキーを出して、炭酸で割ってくれてるよ。

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うん、樽出しハイボールだ。

割る炭酸が瓶で本格的だよ。

 

「濃いし、ゆっくり飲んでね」やって。

優しいな。

たしかに濃い。ウイスキーの味がガンガン来る。

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これでベロベロになってその辺に寝たら怒られるだろうなー。

そうならないように気をつける。

ひとは優しくされると、それを裏切れないんだよ。

 

「まいどおおきに」ってお客さん入って来た。

それから長いことおばちゃんと話してる。

みんな話しに来るんだね。さっきの人もそうだった。

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で、ふたりの会話を聞いていたら、

なんと!おばちゃん酒はまったく飲めないらしい。

 

なんてことだ。

あんなに最高の1杯を注いでくれたのに。

この焼酎もあの酒もうまいと教えてくれたのに。

 

すごいよ。プロだよ。

 

京都でまたひとついい店を知ってしまった。

ずっとここにいたい。

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でももう時間だ。帰らなきゃ。

 

さっきから、妻からの着信も何度もある。

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心配してるのかなあ。

怪しまないでね。出れる空気じゃなかっただけなの。

 

帰るよ。

結局、迷って迷って今日はランチ食べなかったな。

そんな人生、ダメ。ゼッタイ。

迷うな、今を楽しめよ!

 

というか、これ妻に怒られるやつだ。

帰ります。

 

※PS:少し心配になって妻に折り返し電話したところ、ウチの犬(リン ♂1歳2ヶ月)のドックフードを変えようと思うけど、どれがいいかしら?とのことでした。

ホッとしました笑

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