こんなに目立つのに、なぜ気付かなかったのか。
近くを通ったことあるはずなのに。
行ってみよう。
うわ、最高か。
いいカウンター。目の前ではお酒を燗してる。
女将さんに「最初何飲む?」と聞かれ。
「お酒ください」
そりゃ、目の前で見せられたらね。
何かがよくわからなかったしね。
賀茂鶴をなみなみと注いでくれた。
カウンターにこぼれてるよ。
下に皿とか敷かないのがカッコいいね!
これが居酒屋だよね。
うまい!プロのお燗だ。
お湯に入れたのは1分くらいだったと思うけど、ちょうどよく燗されてる。
お通しのこれもいい味。
ここでやっと壁のメニューを見る。
いいねー。
とりあえず牛皿くださいな。
ほどなくして。
ひと口食べて俺は恥たね。
この店を知らなかったことを。
何年も近くに住んでいたのに。
何年も近くで働いていたのに。
女将さんが、お近くですか?と話しかけてくれる。
はい、近くですー、と答える。
おでんも絶対食べるべき。
ただ、わりと満腹でして。
今来た常連さん、牛皿はまだありますか?
なるほど、売り切れることもあるのか。
次はもうひとつのお酒。試鑑を頼んだ。
せいきょうと読む。
ほら。
持つ前に口をつけて飲まざるを得ない。
こっちのほうがスッキリしているね。
これもいいよ。
あ、隣のお客さんのくさやが来たよ。
においでわかった。
くさやも伊豆大島でK氏と食べたのが初めてだったな。
あのとき若い二人が出した結論は、
くさやはまずいだったね。
そんな若きK氏に敬意を表して賀茂鶴をもう一杯。
ここが燗するところ。
はい、なみなみ。
素敵な光景。
おしんこが爽やかだよ。
せっかくだからおでんを。
いい味。
みんな帰って客が俺は一人になった。
静かだな。
店内に音がない。
酔い給へ それがすべてである
さあ、行きますか。