寿楽はすぐに出た。
それは、ここで次の大事な予定があったから。
今から尊敬するM先輩と飲むんです。
今日、はしごでのランチにも同席してくれた方。
ワクワクするな。
と、喜び勇んで来たものの…。
先輩はもちろん、ほかの客も誰もいない。
緊張するから飲んでよ。
エビスビール(520)です。
ランチは後輩と3人だったからよかったけど、
M先輩と2人ってのは緊張するのよ。
というのもMさん、俺が思うに弊社で一番の美人でして。
だから常にいろんなところから引っ張りだこで。
今日もこのあと予定があって1時間しか空いてないとのことなんだけど。
それでも久しぶりだからって、わざわざ来てくれる。
緊張するなってほうが無理ですわ。
なんて書いてたら、M先輩ご到着です。
いつもの小さいビール(420)ですね。
お疲れさまでーす!
パパド。これがお通しかな。
僕はもう次のハイボール(390)ですよ。
どうしてもペースが早くなっちゃうな。
キーマナン(550)も来た。
マトンの挽肉がナンに挟まっててうまい。
せっかく時間を取ってくれた先輩に色々質問しないと。
と思うと質問ってなかなか出ないんだよな。
で、慌てて考えた拙い質問にもM先輩はひとつひとつ丁寧に答えてくれる。
美人なだけじゃなくて、仕事もできるひと。
それだから、尊敬してるんですよ。
マトンと玉ねぎだったかな。
マトンドゥピャーザ(980)というカレー。
あー、しまった。マトンがかぶったわ。
ナンのキーマもマトンじゃん。
お店の人が半笑いで持って来たわけだ。
なのに。
「わたし、ヒツジ大好きだからいいよ(笑)」
先輩がそう言ってフォローしてくれた。
この人はいつもこうやって軽やかに助けてくれる。
俺が新入社員のときからそうだ。
大手町のビルにいたころね。
入社以来、何度この人に助けられたことか。
イヤな上司からもかばってくれたな。
なんて感慨に浸っていたら、そろそろ時間だ。
M先輩はこらから麹町だ。
ふたりでもう一杯だけ飲んで解散しましょう。
けっきょく、ほかのお客さんは来なかったな。
短い時間で話し足りないけど、楽しかった。
それに勉強になった。
M先輩、ありがとうございました!
またこちらに来たらよろしくお願いします。