こういうところに来たかった。
カウンターだけの店内。
店のおばちゃんにちょっと待ってねと言われる。
待ちますよ、よしと言われるまで。
何にするかな。考えてよう。
おばちゃんに注文聞かれた。
俺「び、瓶ビールください」
おばちゃん(低音で)「キリンとアサヒ」
俺「ア、アサヒ」
アサヒ(600)
うまいな。やたらうまく感じる。
今度はおじちゃんに食べものを聞かれた。
どて焼き、おでん、串かつ!
スラスラ言えたよ。
今あるおでんはこんにゃく、たまご、焼き豆腐。
その中から、焼き豆腐とたまご。
すぐ来た。
こっちも!
わーい。
名古屋の色だ。
ますはどて焼きから。
味噌が濃い!
こんなに濃いんだね。
うまいわ。
おでん。
味噌が濃い!
このくらい濃いおでんいいね。
俺がおでんをいまいちだと思うところって、
味にインパクトがないことだったんだな。
別物だ。
この珍しい七味。
かけるとまたうまい。
串かつ。
歯ごたえがあってなんだかうまい!
もちろん味噌をつけて。
それにしてもこの食感はなんだろ。
ぜんぶうまいな。
これは追加せざるを得ない。
焼とり。
うん、少しコゲた味がいい。
なんか、どの料理も個性がある。
店のおばちゃんみたいだ。
客にも厳しいけど、おじちゃんにも厳しい。
おじちゃん注文間違えて怒られてる。
さらにどん!
いい風景。
下げられる前にさっきの味噌つけとこ。
とり天の串も珍しいよね。
カラシがいい。
そしてこれも歯ごたえがある。
わかったぞ。
この食感、衣から来てるな。
やたら弾力のある衣。
職業柄、気になる。
そんな中、酒に目を移せば、、
コップより皿のほうが多いくらい。
おばちゃん、帰るお客さんに、
「そこ坂だで気をつけてね」って。
ほかのお客さんには「傘忘れんでね」
ツンデレか。やさしい。
俺以上にビール飲んでるし。
名古屋はここでいいかも。
つい追加。
いいな。
わ!
ねぎまかつを味噌で。
お客さんがみんな帰って静かな時間が訪れた。
するのは換気扇の音と、
たまにしゃべるおばちゃんの声だけ。
それから自分のキャベツを齧る音。
お会計はそろばんで。
前に行った名古屋の店もそろばんだったな。
いい店だった。
しかし名古屋の夜はまだ始まったばかりだ。